Q19
M&A後の統合において、同じ業務を行っていても給与体系が異なる場合、特に買収元の企業の給与が低く、買収先の企業の給与が高いと、統合時に買収元の給与水準に合わせることで不利益変更が生じる恐れがあります。
どのようにして、同様の業務や役職者が納得できる給与体系を構築しているのでしょうか?
A19
「M&Aにおける給与の決定は、統一的なルールで公明正大に」という論調を散見しますが、それができるのは、業績優良かつ人材豊富な企業の場合に限られます。
現実にはそうではない企業が多く、そこで統一ルールで運用したら、中核人材が流出して企業価値が毀損するか、賃金水準が過剰となり財務体質が脆弱化して、雇用維持や顧客価値に皺寄せを招来し、結局は誰にもハッピーになりません。
中小企業の場合には、買収先の従業員1人1人について、市場価値と社内価値をよく査定し、予算とも照らして最適な水準を個別に算定し、俸給表などで運用している場合には差額は調整給とする実務が多く見られます。